新しい旅


部屋を掃除していたら、
昔書いた詩のようなものが出てきた...。


蛍よ
その光が永遠となるように 僕は願いを込めて解き放つ

一瞬で消えてしまうその命の光は儚いけれど
強く弱く水面を滑るその光に
僕は今、確かに命の軌跡を目撃する

蛍よ
その一瞬が永遠であるように舞い上がれ
その一瞬が全てであると教えてくれ

汗ばむ僕らの思いはやがて熱を帯び、
不器用に絡まる願いへと変わってしまう

ほつれた糸を解きほぐすように
鮮やかな曲線を描きながら
夜空に踊る残光は 命の軌跡を辿る糸

その糸の切れ端を掴もうと 僕は闇夜に手を伸ばす

夜空をすり抜けるように舞い上がる光の軌跡
その命の切れ端を掴めるならば 一瞬など永遠の代名詞

蛍よ
この大地を舞い上がれ
闇夜で見えない僕の掌を照らしておくれ

微かに残る温度から
何もかもがそこにあったと確かめる 

その僅かな記憶を頼りにして
強く儚く燃える光があるならば

涙で霞む闇があろうとも
孤独に握りしめた両手から 全てが始まったこと

それを知ってしまうこと
それを僕らは 永遠と呼ぶのだろう



これは確か、大学生のときに、
滋賀県の佐和山あたりでを見に行ったときに作ったもの。

詩の知識などというものも持っていなかったから、
全くの駄作には違いないけれど、
当時は、生まれて初めて直に見る蛍の姿感動して、
思わず作ってしまったと記憶しています。

あれから随分と年月は経ってしまって、
今は作業療法士という仕事をしているけれど、
当時の僕は、こんな仕事をするとは夢にも思っていなかった。

リハビリとは、薬剤を用いない唯一の医療である

就職氷河期と呼ばれた大学四年生のとき、
偶然入った本屋で手にした書物から、
この文言を見て作業療法士になりたいと強く願ったのは、
この詩を書いてから数か月後のこと。

今、読み返せばその思いは、
この詩を書いたことと、どこか繋がっているように思う


先週までの同行訪問が終わり、
今週から、訪問看護ステーションでの勤務が、本格的に始まります。
小児から高齢者まで、幅広いリハビリを担当させて頂けるので、
僕にとっては、それは新しい旅の始まりのようなもの

僕は、作業を出会いの場と捉えたいと思っています。

ほつれた糸を解きほぐすように、闇夜に手を伸ばすことができれば、
それは、命の軌跡を辿る糸にも成り得る

僕らは作業活動を通して、
不器用に絡まる願いを、一本の命の軌跡を辿る糸へと変換させる

作業療法とは、本来そういうものであってほしいし、
これから出会う利用者一緒に、その扉をひとつずつ開いていければ、
何もかもがそこにあったことを、共に知ることができる

僕らに出来ることは、
ただそれが、大地を舞い上がる永遠の何かに変わることを願って、
利用者と共に歩んでいくことで、

作業療法の魅力とは、
それを、利用者と一緒に確かめることができることなのだと思う。

作業や活動を通した新しい命と、その可能性との出会い
これがあるから、僕は作業療法士をやめられないでいます。


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by hiro-ito55 | 2013-03-03 22:51 | 作業療法

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


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