老師と少年

先月 『Present is a Gift』 の510さんから勧められて、
南直哉さんの 『老師と少年』(新潮文庫) を購入。

とても薄い本なので、楽に読める
と、思ったら大きな間違い

良い本というものは、
読むたびに、読み返すごとに、違う意味を持ったり、
新たに はっと気付かされたりするもので、

そういう仕方で、自分を深化させるものです。

一度読んだだけで、
『なるほど』 と合点のいく本など、
実は大したものではない

だから、『老師と少年』 は、
購入してから繰り返し読ませて頂いています。


この本に登場するのは、
主に二人の人間。

少年が、老師の庵へ毎晩訪れ、
老師と対話します。

そこで少年は、
生きるとは何か』 『苦しみとは何か』 『老いるとは何か』 といった、
抽象的な問いを、老師にぶつけます。

老師は、少年のそれらの問いには直接答えず、
人間であることの大切さ』 を少年に問いかけ、
考えさせます。

老師は少年であり、
少年はまた、老師の苦しみでもあるのですが、

同時に、
彼らは読者自身でもあるのです。

少年の問いは、
明確な答を提示できるようなものではなく、
だからこそ、その問いは切実なのですが、

形而上学的な問題を、自分自身に置き換え、
日々の自分の経験に触れさせることで、

その問い自体の意味が変化し、深化し続ける。

そして、
自分の経験の仕方もまた、
少しずつ違った意味合いを帯びてくる。

そうやって、
自分の向き合う具体的な現実と照らし合わすことで、
この本は生きてきます。


少年の、
生きるとは何か』 『苦しみとは何か』 『老いるとは何か
といった問題を、
自分の内発性に委ねることができず、
理性でもって向き合わなければならないのは、
現代人不幸であり、苦しみであるのでしょう。

その苦しみの種は、
近代思想の祖といわれる ルネ・デカルトの時代から
既に蒔かれていると思うのですが、
その話は、また別の機会にしたいと思います。

『老師と少年』(新潮文庫)
興味のある方は一度読んでみて下さい。

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by hiro-ito55 | 2011-12-04 16:06 | 哲学・考え方 | Trackback | Comments(0)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


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