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サクラと日本人の心

真夏のこの暑い時期になんですが、(^_^;)
今回は 『サクラ』 の話です。

しきしまの やまと心と人問わば 朝日に匂う山桜花

二つ前の記事でも紹介しましたが、
これは本居宣長の歌です。

日本人が 『サクラ』 といってまず思い浮かべるのは、
ソメイヨシノ』 でしょう。

ソメイヨシノはご存知の通り、
葉が出る前に花が一斉に咲き、
花が散った後に、葉が出てきます。

その姿は、とても派手です。

しかし、この歌で宣長の言う 『サクラ』 とは、
そのようなサクラではなくて、
山桜』 と呼ばれるサクラのことです。

彼はそれに、 『やまと心』 を見た。


山桜は、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、
花と葉が、ほぼ同時につきます

そして、時期が過ぎると
花は順番に散っていきます

ソメイヨシノのように、
けして一斉に、派手に散るのではなく、
静かに散っていくのです。


代々、日本人は
このようなサクラを、サクラとして愛でてきました。

それが、
サクラといえば 『ソメイヨシノ』 というように変わったのは、
明治以降の話であって、
ここ二百年足らずの間の出来事です。

長い日本の歴史を考えれば、
それはごく最近の出来事である、と言えるでしょう。


ソメイヨシノは、
江戸時代末期に、染井村の植木職人によって
人工的に改良された品種で、
明治以降、それが爆発的に全国に広まっていきました。

そういう、比較的新しい品種なのです。

ソメイヨシノが全国に広がっていったのには理由があり、
苗木の培養が、他の品種に比べ容易であったからだ
というがあります。


ソメイヨシノのように、
サクラの花がパッと咲いて、一斉にパッと散る。

西洋人の中には、そこに
散り際の潔さ』 を表す、日本古来の 『やまと心』 がある
と思われる方も多いようですが、

実は、違います


宣長の歌う山桜のように、
周りの葉と調和しながら控えめに咲き、
そして静かに散っていく。

けして派手ではないが、
その、何とも言えない融和のようなものの裡に、
日本人の美意識というものがあるのであって、

そこに、 『やまとの心』 だとか、 『やまとの魂』 
といったものがあるのです。

だからこそ、古来より日本人は
山桜のようなサクラをに詠み、愛でてきたのです。


しきしまの やまと心と人問わば 朝日に匂う山桜花

多くの人が誤解しているのかもしれませんが、
(誤解してしまったことが、けして悪いというのではなく)
少なくとも 『潔く派手に散ること』 のように、
ある意味、男らしい価値観と、

やまと心』 や 『やまと魂』 とは
本来、何の関係もないのであり、

むしろ、 『朝日に匂う山桜』 のように、
周りとの調和と、控えめさをその身に纏いながら、
時期が過ぎれば、静かに散っていく、

その、何とも言えない融和を求める姿の裡に、
やまとの心』 は、
ずっと、息づいてきたのです。

サクラと日本人の心_b0197735_0151523.jpg


Commented by フェラガモ バッグ at 2013-06-29 08:29 x
こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま~す。よろしくお願いします
Commented by hiro-ito55 at 2013-06-29 19:53
フェラガモ バッグさん、初めまして(^・^)。
いつでもお待ちしています。気軽に覗いて下さい☆
宜しくお願いします(^o^)/。
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by hiro-ito55 | 2011-08-10 00:15 | 日本人 | Comments(2)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります。


by いとちゅー