優秀な営業マンと、信頼される作業療法士は似ている!?


毎週訪問させて頂いている利用者さんの中に、町工場の社長さんをしてらした方がいる。

リハビリをしながら、働いていた頃の話をよくされるのだけれど、
「へぇー」と思わされることも度々あって、営業職の若い社員にいつも語っていたという言葉も印象的だった。
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――「取引先で、自社をアピールして帰ってくる奴は、まだまだ半人前。
   相手の話をよく聞き、その要望を満たすために、
   自分のできることを見つけようと努力することができれば、やっと半人前を卒業できる。
   そして相手の望むものを理解し、自分から先にそれを提案できるようになれば一人前。」――
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そういうことが、段階的にできるようになっていく人は、
相手先と長い付き合いができる営業マンに育っていくというのだ。

つまり、
営業先で自社製品の特徴やメリットを、熱意を持って語るだけでは、
相手先の信用は全く得られない。

逆に、
話の中から相手の望むものや期待しているものを素早く感じ取り、
それに合わせたディールを展開するためにはどうしたらいいか、
そのことを常に考え、商談を進めていこうとする者が、営業マンとして一人前になっていくということだ。


リハビリもそうではないかと思った...。

自分の知識やスキルを、利用者さんの前でアピールできるのはいい。
それだけ自身があるのだろう。

しかし、それだけでは利用者さんからの信頼は得られない。

初めて利用者さんとお会いするときに、いつも感じるのは、
僕らが望むと望まないとに限らず、治療者と被治療者の間には、
治療者優位の力関係が、既に存在しているという事実だ。

そこで望まれていることは、専門性のアピールよりも、
まずは、僕ら側から積極的に相手の立場になって考えていく姿勢なのだと思う。

相手が何をしてほしいのか、どんな姿を望むのか、
それに対して自分のできることは何なのかを、まず考える。

そして、
相手の望む形に自分の専門性を上手く乗せて、ひとつひとつそれを具現化していく。

作業療法は、相手から共感し、共有しえたものを、ひとつの形にしていく行為だから、
それが上手くいったとき、初めてそれはいいリハビリだったと言える。
スキルや知識の展開は、それを踏まえた上で実を結ぶものだと思う。


良い営業マンと、良い作業療法士。
製品を売ることと、治療することとでは、確かに次元の違う話なのかもしれない。
けれど、相手から信頼してもらうことが必要な点は、両者とも共通している。

では、信頼を得るためにはどうしたらいいか。
それが、自己アピールではなく、むしろ逆の姿勢から始まると考えたら、
この仕事は、とても奥が深く魅力的なものだと感じる。


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# by hiro-ito55 | 2016-12-06 22:03 | 作業療法 | Comments(0)

この仕事をしていて嬉しいこと


この仕事をしていて、嬉しいことがひとつある。

それは、歩行練習や筋力強化など、
満足なリハビリができなくなるほど、その人の状態が悪くなってしまったとき、
ご本人やご家族の方から、「それでも来てほしい」と言って頂けること。

その言葉は、僕があくまで機能や能力の回復に拘ったリハビリをしていたら、
けっして言われることのない言葉だと思う。

もちろん、訪問してもやれることはごく限られてしまうけれど、
それでも待っていてくれるということは、そこに何らかの意味や価値があり、

それがたとえ数値化できないものであったとしても、
或いは、効果を上手く説明できないものであったとしても、
僕は全然かまわないと思う。

利用者さんやご家族にとって、
そして僕にとってもそれは、かけがえのない時間であるに違いない。

実際に僕にできることは、ほとんどないかもしれない。
一緒に時間を共有できたとしても、それだけなのかもしれない。

でも、
僕らが在宅医療に関わる意味は、そういうところにもきっとあるのだとも思う。


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# by hiro-ito55 | 2016-10-05 20:31 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(0)

(補足)―PTとOTの違いを上手く説明するために―


未だ個人的な質問が多いので、
この記事⇒ PTとOTの違いを上手く説明するために について補足する。

補足内容は、僕らの仕事が名称独占であるということについての、その法的な裏付けである。
以下は、理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年六月二十九日法律第百三十七号)より抜粋したものである。


第一章 総則 第二条
 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
2 この法律で「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。
 この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
 この法律で「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。


上記「総則第二条」の1,2の「主として」という表現が、
例えばもし「専ら」であったならば、それは「専従」を意味することになるため、
「主として」以下に記されている内容以外の業務を、
作業療法(若しくは理学療法)だと謳うことは、一切許されないことになる。

が、実際はそうではない。
「主として」という表現が成されている以上、
1,2は、業務の専従性についての規定ではなく、
作業療法(若しくは理学療法)という、業務の性格性を明記したものということになる。

そして、
理学療法士とは、理学療法士の名称を用いて理学療法を行う者を指し、
作業療法士とは、作業療法士の名称を用いて作業療法を行う者を指すことが、
3,4に明記されている。

つまり、
作業療法士が歩行練習や機能訓練をしてはならない、
或いは、理学療法士が作業や工作をしてはならないという業務についての規定はなく、
同時に、作業療法士が歩行練習や機能訓練を行えば、それが作業療法となり、
理学療法士が作業や工作を行えば、それが理学療法となるのだという名称の独占が、
法的に担保されているということになる。

こういった名称の独占であるということは、逆に言えば、
作業療法士が歩行練習や機能訓練を行っても、それを理学療法と名乗ることはできないし、
理学療法士が作業や工作を行っても、それを作業療法と名乗ることはできない、
ということも意味することになる。


また、名称の使用制限については、
以下の「第四章 業務等 第十七条」においても、はっきりと規定されている。

第四章 業務等 第十七条(名称の使用制限)
1 理学療法士でない者は、理学療法士という名称又は機能療法士その他理学療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。
 作業療法士でない者は、作業療法士という名称又は職能療法士その他作業療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。


これらが、
リハビリを行う際に、作業療法士でも歩行練習や機能訓練を、
或いは理学療法士でも、手芸や工作を行えることの根拠であり、
その内容については、作業療法士が行うから作業療法となるのであり、
理学療法士が行うから理学療法となることの根拠、つまり名称独占についての根拠である。

以上、疑問に思っている方々も、これで少しは理解しやすくなったと思う。


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# by hiro-ito55 | 2016-09-05 19:32 | 作業療法 | Comments(0)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


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