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Humanity


訪問のたびに、妻の前で強がる人がいる。
できるのにやらないと愚痴れば、お前の介護がいけないんだと悪態をつく人がいる。
動けない自分が嫌だから、お前なんかもう来なくていいと言い放つ人がいる。

そうして気に入らないことは、いつも家族や誰かのせいにする。

でも、どんなに憎まれ口を叩いても、
向き合っているのは、「夫の障害」や「母の認知症」ではなく、
「障害を抱えた夫」や「年老いた母」だとしたら....。
目の前にいるその人は、いつも誰かにとって大切な人。

だから、本気で怒ったり責めたり愚痴ったり。
そうして後で悔んでしまっても、そこにはみんな人間らしさが宿っている。

それに触れる僕らにだって、人間くささが見え隠れ。
ともに泣いたり悔んだり。たまには一緒に笑ったり。

二度と繰り返すことのない瞬間の、全てが喜びではないけれど、
ともに何かを探している、その姿はいつも個性的。

妻や息子が気に入らない。自分の不甲斐なさが許せない。
その気持ちももみんな、一緒に生きているからこそのもの。

愚痴や不満も引き出して、ぶつける相手が僕ならば、
それを受け取る瞬間は、きっと人間らしくなっている。

一緒に何かをする限り、人と思えなくなったらお仕舞いだ。



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by hiro-ito55 | 2015-01-26 17:59 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(2)

無くしてしまいそうな心へ


起き上がることや座ること、
食事のために台所まで移動すること....。

どれも、わざわざ望んでするような難しいことなんかじゃない。
みんな、ありふれた日常の風景。

でもその人にてって、今は全て、自分の日常から遠く離れてしまった現実。
だから一日の大半を、ベッドの上で過ごしている。

無為な毎日を前に、深く傷ついている心へ、
どうかほんの少しでも、その気持ちが穏やかであればと願う。

不条理に振り回される怒りを、無力にも傷つくやり切れなさを、
そのざわめきに身を任せ、ただ心を無くしてしまうとき。

そんなふうに、不意に孤独を抱えてしまったなら、
そんなときこそ、思い出してほしい。

人が傷つくのは、
人が一人で生きていないということの、何よりの証でもあることを。

誰のためでもない自分の人生を、豊かにして生き切る術。
それを見つけ出し作り出す、本当の意味や味わいは、自分自身じゃないと解らない。

見つめる心がざわついていたら、
そのかけがえのなさに、気付くこともできない。


無くしてしまいそうな心に向かって。
頑張るよりも、諦めるよりも、
自分のひとつひとつを、大事にしていけるような平穏を見つけてほしい。

全ての大丈夫が、そこから始まっていくように。
ともに探すことはできるのだから。



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by hiro-ito55 | 2015-01-13 22:29 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(3)

新しい年に


あけましておめでとうございます。
訪問リハ一本で仕事をするようになって、あっという間に二年が過ぎました。

一昨年の暮れ、新しく訪問看護ステーションを立ち上げた方にお会いする機会があり、
その方からのご縁で、新しい一歩を踏み出すことができました。

そして、そのご縁はその後も新しい出会いを呼ぶことになり、
今はその中で、忙しくも充実した日々を過ごすことができています。

だから、今僕が当たり前のように仕事ができているのは、
まずその方との出会いにあると言っても、過言ではないと思っています。

その貴重な出会いに感謝しつつも、
この二年というのは、他人を知ることや自分の仕事を知ることの難しさを、
痛感してきた二年でもありました。

でもその中で、共感や共有、或いは個性(自我ではなく)の尊重の仕方など、
ヒントとなるものは、しっかりと掴むことができたと思っています。

相手に共感できるというのは、僕らに与えられた立派な知性の働きです。
その時そこで語られる言葉は、相手の言葉であり自分の言葉であるはずで、
そういう不思議な性格を持った言葉は、語られることによって語り出す、
そういう働きを持っています。

だから初めはその深さが分からなくても、そこに何か意味があると確信できる人が、
やがて、それを表現する言葉を、持つことになるのだと思います。

そうすると、人に触れながら、人を知ることが自分を知ることに繋がり、
外から眺める傍観者になる方が、ずっと難しくなっていく...。

だから、
共感できることの大切さを知りながら、それを見定める言葉や形を見つけていく。

今年も、それを自分なりの姿として、一年を歩んでいきたいと思っています。


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by hiro-ito55 | 2015-01-05 00:01 | 哲学・考え方 | Comments(4)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー
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