ラポール
2017年 10月 16日
患者さんや利用者さんとの信頼関係を築くという意味で、
僕らの世界でよく使われる言葉に、ラポールというものがある。
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信頼関係を築くために一番必要なのは、相手をよく知ることなんだけど、
「知る」と一口に言っても、世の中には色々な知り方というものがある。
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科学的に知るというのも知ることのひとつだ。
けれど、その人のすることに共感を覚えることや、共鳴するという知り方もある。
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何かに心惹かれること、感動を覚えることも、
それを知るという、僕らに与えられた大事な知性の働き。
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相手のことを知りたければ、
自分の知りたいというその気持ちを、何よりも大切にしなければいけない。
自分が相手のことを知りたいと思えば、その相手もまた、
ああ、この人はこういう人なんだなと、その人の中にも相手の姿が湧いてくる。
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そういう経験の積み重ねが、
互いの共感できるもの、共鳴できるものの姿を確かなものにしてくれる。
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利用者さんが、お箸の練習を必死に頑張っているのは、
手指の機能を向上させたいだとか、筋力を向上させたいからじゃない。
ご飯をお箸で食べたいからなんだ。
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僕らの専門性は、利用者さんの価値観を形にしていく上で発揮されるべきもので、
その価値に優先してあるものではない。
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そのことが分かっていれば、
作業療法は、利用者さんの価値に共感し、互いに共有しえたものを、
利用者さんとともにひとつの形にしていくことができる。
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相手を知るということは、自分の解釈に相手を引き入れることではない。
相手の側に降りて行って、迎え入れることだ。
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それが相手を知り、信頼を得るただひとつの方法だと思う。
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