動作を考える上で参考になる本
2017年 08月 21日
身体の使い方は人それぞれ。
でも、みんながみんな全くバラバラな使い方かといえば、そうではないと思う。
何かをしようとして、それに必要な身のこなし方を学ぶことがある。
動作に求められるある一定の身のこなし方。それを「型」と呼ぶのだろう。
型は「所作」や「身振り」とも言い換えることができる。
そして、身振りの立派な人は、美しい立ち姿をしているものだとも思う。
きれいな所作や身振りを身に着けている人は、動作に求められる身のこなし方を知ったうえで、
それぞれの持つ身体技能の特徴を、それに見事にアジャストさせているのではないか。
型や所作というと、ちょっと堅苦しく聞こえるかもしれないけれど、
人の身体技能は審美的であるということは、日常の何気ない動作でも同じだと思う。
無理のない自然な動作であれば、それは立派な身のこなし方であって、
もし、リハビリで獲得する動作がそのようなものであれば、
それについても同じことが言えると思う。
以下に紹介する三冊の本は、リハビリの専門書ではないけれど、
人の身体の動きを、今一度広い概念で捉え直すためにはとても参考になるものなので、
遠回りでも、なんとなく僕と同じようなことを考えている人には、ぜひお勧めしたい。
まず一冊目は「たたずまいの美学」。
西洋人と日本人では、そもそも立ち方、座り方、歩き方が根本的に違う。
それを、履物や着るものの違いや、日常の何気ない動作から比較・分析し、考察している。
内容は具体的で、且つ解剖学的な観点からの考察もしっかりと成されているため、
生活文化から、いかに我々の身体形成や動作が影響を受けているかという、
ほとんど僕らにとって無意識レベルの話を、分かりやすく教えてくれる良著。
二冊目は「逝きし世の面影」。
一冊目のたたずまいの美学と重なる部分があるけれど、
こちらは、幕末から明治にかけての日本人の生活様式や文化の特徴を、
外国人の手記を元にして考察したもの。
だから直接には、現代人の動作に関係のないものと思えるかもしれないが、
文明や精神性の伝統という観点から見れば、
一冊目よりもより広義な意味で生活を捉え直した内容になっている。
そのため、具体的な身体技能の話というよりも、
僕ら現代人の生活や文化のアイデンティティーとなっているものを、
歴史的にもう一度捉え直したいと考えている人に、お勧めの一冊だと思う。
そして最後は「はじめての4スタンス理論」。
スポーツの世界では、それなりに知られている一冊で、
スポーツ選手にとって、どのように身体を使えば自分の能力を最大限に発揮できるかを、
四つのタイプに分けて解説したもの。
それを主に、身体軸の使い方という観点から説明しており、
筋トレではなく、重心移動の使い方によって技能を体得することを目的としているため、
スポーツ選手だけではなく、一般の生活者の身体の使い方としても参考になる一冊。
なによりも、身体技能の伝統や文化といった堅苦しい話はないので、
個人的には、現代人にとって比較的受け入れやすい内容となっていると思う。
・
・
・
日常の過ごし方や生活動作の再構築を考える上では、参考になる三冊だと思う。
by hiro-ito55
| 2017-08-21 13:58
| 作業療法
|
Comments(0)