考える生き方のヒント       ~今、伝えたいこと~

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基本的な思いは一緒でも....。


先日のこと。利用者さんとご家族が、大喧嘩をした直後に訪問したことがあった。
喧嘩の原因は、利用者さんが一人でベッドを離れ、部屋から出てくること。

トイレに行こうとしたり、食事のために台所まで来てしまったりと、
目的はその時々で様々だけど、
転倒リスクのある人が頻繁に家の中を歩かれてしまうことが、ご家族としては心配で、
いくら注意してもそれが改まらなかったことで、ついに喧嘩となってしまったようだ。

お互いに怒り心頭な双方の話を聞きながら、
ついにこうなってしまったかという思いだった。

元々、転倒後の大腿骨骨折で入院され、
自宅退院になった後にリハとして関わるようになった利用者さんだが、
一月も経たないうちに、支え歩行がなんとか可能になりかけていた。

ただ、自分の能力をやや過信するところがあって、
歩行器など福祉用具の導入もご家族らと検討したが、
本人の「必要ない」という意思を変えることはできなかった。

本人としては、自分で歩くことぐらいできると信じているかもしれないし、
金銭的な負担や、家族の気遣いを心苦しく感じているのかもしれないが、
ベッドから離れるときは一声掛けるように、ということで話が進んでいたときに、
喧嘩となってしまった。


医療職や介護する側からすると、
どうしても本人の「できないこと」が目に付いてしまうことが多い。
だからこそ「見守り」が必要で、そのために必要な対策を一緒になって考える。

だが、僕らがそう思って進めてみても、本人からしてみれば、
それを、自分の行動を制限するための「監視」と受け取ってしまうことがある。
だからこの利用者さんも、「転んだら自分の責任だ」としきりに言っていた。

家族からしてみれば、その後の入院やら何やらを考えると、
自分一人で責任なんて取れるわけがないと当然考えていたし、
一緒に暮らしたいという基本的な思いは一緒でも、
そのためにどうすればいいかというところで、双方の捉え方には大きな違いがあった。


支援者側からすると、リスク管理をしっかりとした上で、
その人らしく生活するための支援を模索していくのが基本となるのだが、
どんなに一緒に生活していても、本人が一人になる時間は必ず出てくる。
見守りが行き届かない時間は、双方の信頼の上に生活を立てていくしかない。

しかし、その信頼関係が本当に成り立っているのかということは、
当事者同士にもなかなか見え難いところで、しかも一旦それが破られてしまうと、
支援者側から見れば「いくら言っても聞かない人」と映り、
逆に本人からすれば「いつも監視されているようで嫌だ」ということにもなってしまう。

専門職側からの意見や価値観は、ご家族にとっては非常に影響力のあるもので、
その捉え方をそのまま受け入れるご家族も多い。

だが、家族を巻き込んだ見守りやリスク管理の体制が、
ときとして利用者本人に窮屈な思いを与えてしまったり、
本人を、心身ともに孤独に追いやったりしてしまうこともある。


一口に「在宅はその人らしい生活のためにある」と言ってみても、
支援と被支援という関係を持ち込んで、一緒に生活するというのは難しい。

在宅において、完全な見守りというのは不可能なのだから、
それを承知の上で、双方が過負担なく生活できることが理想なのだが、
いざそれを実現するというのは、とても複雑で困難を伴うものだからだ。

最低限のリスク管理と、その人らしい生活の実現。
支援者側からすれば、転倒リスクだけはなんとか回避したいし、
利用者本人からすれば、できるだけ自由に振る舞いたい。
そのバランスの上で成り立つ生活を探していくのは、とても微妙な問題だ。









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Commented at 2015-05-07 08:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by hiro-ito55 at 2015-05-07 22:34
僕ら専門職は、在宅と病院では患者さんに対する見方を変えなければいけません。入院中に転倒などの事故が起こった場合、病院側の管理体制が大きく問われますが、在宅の場合、患者さん本人やご家族が責任を感じてしまうものです。
だから、彼らでもできるリスクマネジメントの方法を伝えていかなければいけないのですが、しかし、その責任まで彼らに押し付けるわけにはいかないのです。
リスクを回避するため、専門的な立場から事故予防への意識をあまり強調しすぎると、却ってお互い窮屈な在宅生活を強いることになってしまいかねないので、彼らにできることだけを伝えていくのも、そのひとつの方法なのですが、事は責任意識だけでなく、両者の家庭内での立場や関係性にも及ぶので、それを考慮しながら必要なことだけを伝えていかなければいけいない、これは非常に微妙な難しい問題なのです。
だから、ちょっと一言では言い尽くせないですね。すみません(^_^;)。
Commented at 2015-05-08 10:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by hiro-ito55 at 2015-05-08 21:47
こちらこそ(^・^)。
ぬか床さんのブログもいつも拝見させて頂いています。
どんなときも、自分の力を信じていきましょう)^o^(
Commented at 2015-05-09 08:14 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by hiro-ito55 | 2015-05-05 19:48 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(5)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー