考える生き方のヒント       ~今、伝えたいこと~

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その人の決断


「今までこんなに丁寧にして頂いて、ありがとうございました。」
玄関先で、少し涙ぐんで挨拶される奥さまの姿が印象的だった...。

昨年から、
途中数か月の中断を経て、訪問リハを継続してきた。

医師から、余命一年の宣告を受けたご主人を自宅に引き取り、
それから約一年もの間、献身的に介護を続けてきた奥さま。

そのご主人を、
療養型の病院に入院させることを決めたという。

理由は、奥さまの介護疲れ。


訪問リハの介入が始まったのは、退院されてから一か月ほどのこと。
それから二か月ほど経った頃だった。

最初はターミナルとしての関わりのつもりだったけど、
状態がどんどん上向いていき、一時的だけど屋内歩行まで行えるようになって、
自宅トイレまで、歩いていけるようになった。

デイサービスにも、週に3回も通えるようになった。

新に利用が決まったデイサービスでは、リハビリも行って頂けるということで、
訪問リハとしては目標達成という結論に至り、
開始から4ヶ月を経過した時点で、リハとしての関わりが終了。

時折見せる、子供のような人懐っこい笑顔が印象的だった。



それから数か月。
その後も継続してケアを行っていた訪看ナースから、
状態が思わしくなくなり、毎日の介護がたいへんになってきている、
という話を聞かされる。

そして、訪問リハの再開。
でも今度は本当に、ターミナルとしての関わりだった。

寝返りから起床、座位保持まで、ほぼ全介助で行う状態。
そして日中の傾眠傾向と、繰り返される誤嚥性の肺炎...。


口数もめっきり減ってしまったご主人に、
「ほれ、あんたしっかりしなさい。」
と頭をぺしぺし叩いて、後ろからぎゅっと抱きしめて話しかける奥さま。

けれどその彼女自身も、
座椅子にもたれ掛かり、日中もコクリコクリと居眠りをされてしまう...。

気力ではカバーできないほど、心身ともに疲れている様子だった。

デイサービスや訪問介護、訪問看護のサービスも継続していたけれど、
自宅での介護に限界が近づいているのは、誰の目にも明らかだった。


だからケアマネと相談し、受け入れ先の病院を探し始めたのも、
共倒れを防ぐためには、避けては通れない選択だったと思う。

そしてそのとき奥さまは、覚悟したのだと思う。
自宅ではなく、病院での看取りを...。



別れ際、深々とお辞儀をしながら、
「私の力が至らず...。今まで、ほんとに親切にして頂いてありがとうございました。」
そう挨拶をする奥さま。

反対だと思った。
今まで一所懸命に頑張ってきたのは、奥さま自身であったはず。


一年前、自宅での看取りを選択したけれど、
その時の覚悟と、今彼女自身が向き合っている覚悟は、全然違うものになってしまった。

でも、
その願いが叶わなくなったのは、誰のせいでもないと思う。

今、僕には上手い言葉が見当たらないけど、ご主人のために頑張った一年間、
その意味だけは、忘れないでいてほしいと願っている。


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Commented by たくぞー at 2014-04-04 17:34 x
こんばんわ。初めてコメントさせて頂きます。
私は、訪問ヘルパーとして働いている者です。いとちゅー様のブログをいつも拝見させていただいております。

私もリハビリの方たちとお話したりする機会がありますが、いとちゅー様のようにリハビリに対して、多角的に深く素直に考えておられる方は、意外と少ないように感じています。
でも、いとちゅー様のブログを拝見しますと、こういう方もいらっしゃるのだなと、いつもとても胸が熱くなる思いがいたします。

いつも勇気をいただいています。また、コメントおじゃまします。
Commented by hiro-ito55 at 2014-04-05 21:11
たくぞーさん、こんばんは(^_^)。
訪問の仕事をしていても、他職種の方とお話をする機会って少ないですよね。
僕も同じ利用者さんにサービスを提供しているヘルパーさんの、ご意見を窺いたいなと思うことがあります。
僕やたくぞーさんに限らず、そう思っている方は、たくさんいらっしゃると思います。
ですから、そういう機会があれば、遠慮なく聞いてみて下さい。
きっと、多くの方が深い考えを持って仕事をしていることに気付くと思います。

えらそうなことを言いましたが、いつも見て頂いていることに感謝しています。
また、コメントして下さい(^_^)。
by hiro-ito55 | 2014-04-01 21:28 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(2)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー