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一人職場について感じることをちょっとだけ


たまに知り合いのOTさんに会ったりすると、
「一人職場はたいへんでしょ。」なんて言われたりすることがあります。

僕は訪問看護ステーションに勤めていて、職場でOTは僕一人。
すぐに相談できる同職種の人が、近くにいない環境にあることは間違いありません。

同職種のいない職場の苦労は、
常に問題を、一人で背負い込んでしまう危険があるということ。

だから、同じように一人職場で働いている友人のたいへんさも、
ある程度は分かるつもりでいます。

確かに僕自身も、
一人でできることの限界みたいなものを、感じたりすることはあるのですが、
けれど、それはそれで、その機会は逆に必要なことでもあると捉えています。

どんな職場に身を置こうとも、僕らは自分の今できることや守備範囲、
それを知った上で、サービスを提供していかなければなりません。

そして同時に、それらの確実性を高めていって、
少しずつ、できることを増やしていかなければなりません。

その中では、実践したこと、或いは考えたことを、
色々な理論やモデルとも照らし合わせて顧みたり、
関連付けて捉えることで気付きを与えられ、次に備えたりすることができる、
そういう自己研鑽の作業も、僕らには求められています。

それは、一人職場であろうが仲間のいる職場であろうが、一緒のことです。

確かに、自分を磨いていく過程で、
身近に相談できる同職種の人がいるのは、心強いことだとは思いますが、
その人なりの仕事の質を問い続けていくことは、
どんな環境であっても、たとえ一人職場であろうとも、
きっとできることだと思っています。


自分が気付いていない問題を、指摘してくれる他者がいなかったり、
気付いても、充分な対応ができなかったりと、
一人職場で働くというのは、確かにたいへんなことです。

置かれた状況(自分の時間的・物理的守備範囲)を把握しながら、
自分のできること、しなければならないことを、
自分の力でコントロールしていかなければなりません。

そしてそれらを理解した上で、
最善と思えるものを、選択していかなければなりません。

治療過程において、当事者以外の視点や意見の入る機会に乏しくなる点は、
どうしても否めないのです。

だから、
身近に相談・指摘できる同職種の人がいるというのは、大切なことだと思います。


一人職場で大切なのは、
自分自身の力を、自分でしっかりとマネジメントしていく能力です。

これがなかなか難しいのですが、
そんなとき僕は、作業療法士の「士」は「武士」の「士」だと、
まずは、いつも勝手にそう思うようにしています。

たとえ一人職場であっても、いい仕事をするために、
せめてそういう誇りを持って、自分を律して胸を張ることぐらいは、
基本にしてもいいんじゃないかと思っているのです。

それに、同職種の人がいなくても、看護師さんやケアマネさんから学んだり、
教えてくれたりすることはいっぱいあります。

他職種の意見や見方に、直に触れることができるのは、
ひょっとしたら一人職場の特権かもしれません。

そこから、
専門職としての自分自身の形を、相対的に明確にするという手も、
充分にアリだと思います。

僕も実際、
今まで看護師さんからの意見や指摘で、多くの気付きを得られてきました。

だから一人職場のみんな、自分と同じ専門職は自分一人だということを、
あまり後ろ向きに捉えずに、頑張ろうね。

一人職場について感じることをちょっとだけ_b0197735_17393936.jpg



Commented by かおる at 2014-02-07 13:48 x
お久しぶりです。お元気でしたか?

1人職場はメリットもあるし、デメリットもある。
でも実は人が多い職場もメリットがあり、デメリットもある。

むかしむかし、私が卒業した頃は多くの人が1人職場に就職しました。まだリハビリの事はよく知られていなかったし、かなり大きな病院でなければリハビリがなかったから1人職場で作業療法を開設すことが多かったのです。
書かれている通り、一人職場だと他職種の人に相談する事が多くなるからとても勉強になります。
デメリットをメリットに変えて頑張って下さい!!
Commented by hiro-ito55 at 2014-02-07 23:51
かおるさん、お久しぶりです。その後どうですか?僕はおかげさまで元気ですよ(^_^)。

僕がOTを目指すきっかけとなった本には、こう書かれていました。
「作業療法とは、薬剤を用いない唯一の医療である。」
誰の言葉かは書かれていませんでしたが、これは考えれば考えるるほど、たいへん深い言葉です。
きっと、OTの草創期を経験されたどなたかの言葉ではないでしょうか。

僕は今まで、不思議と一人職場というものに縁があります。その縁で、老健のOT室開設に携わったこともあります。
そんなとき、OTの在り方について自分なりの形を作らなければならないと思い、それを言語化するためによくこの言葉を手掛かりにあれこれと考えて、できたものを実行していました。
苦労することの方が多かったですが、今までのそういう経験が、いつでも僕自身のアイデンティティを作ってきたように感じています。
(次へつづく)
Commented by hiro-ito55 at 2014-02-07 23:51
(つづき)
かおるさんたち諸先輩方のご苦労とはほど遠いですが、僕にとって一人職場というのはデメリットではなく、OTとしての自分を確かめることのできる財産です。
だから僕はこれからも、少しでも先輩方に近づけるように、自分のできることに真摯に向き合っていきたいと思っています。

P.S.:「めんべい」ありがとうございました。美味しく頂きましたよ(^o^)/。
Commented by かおる at 2014-02-09 23:27 x
日本にリハが入ってきた頃と今とでは時間の流れも、理論も全然違うので、今の若い方達は今のやり方で頑張って頂ければ良いと思います。ただOTが世の中に認めてもらえるのか、このまま衰退して消えていくのか、それも今の若い方々の肩にかかっていますからよろしくお願い致します。
 広く世の中に認知してもらうと言う意味でも、1人職場の人は多職種にOTをアピールする先鋒隊です。頑張って下さい。

「めんべい」美味しく食べていただけたなら良かったです♪今度行くときは明太子持って行きます。
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by hiro-ito55 | 2014-02-03 17:47 | 作業療法 | Comments(4)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります。


by いとちゅー