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言霊について少しだけ...


日本には「言霊(ことだま)」という言葉があります。
言霊とは、呪術的なものや暗示のようなものではなくて、言葉の表現性である
少なくとも僕は、そのように理解しています。

僕らは、
言葉によって、色々と経験したものをはっきりと意識化することができます。

人は、物事を「理」というもので説明されると、
何か、とても高尚なことを言われたように感じるものですが、

世の中の姿や、人の心の知りようは人それぞれで、
いつでも、自分の力量に応じてその都度経験し、これを味わい、
自分のものにしているはずです。

だから、
言葉は、その人の経験と切っても切り離せないものだと思います。

理が先にあるのではなくて、物に対するそれぞれの経験が、誰にでもまず先にある。
それをうまく表現しようとして、言葉の持つ力に捕われる。
そういう働きが、経験と言葉の間にはあるのだと思います。

だから例えば、音楽について知識をいっぱい持っている人よりも、
たった一曲でもいい、それに感動できる人の方が、遥かに音楽の何たるかを知っているし、
そういうところから、言霊というものが生まれてくるのではないかと思うのです。

或いは、どうしてもこの物事には、こうという言葉しか思い浮かばない、
そんな経験は、それぞれが、すぐには言葉で言い難いような体験を通して、
そこから言葉の持つ力の、その不思議さを経験することだと思うのです。


物事には、それが持つ、それぞれのリズムというものがありますが、
そのリズムに応じるのが、僕らの経験であり、それを見定める言葉というものです。
そして、そこを離れて言葉を扱えば、きっとその言葉は、ただの記号になってしまいます。

経験があって、そこから理が生まれてくるのはいいと思います。
けれど、理で人の経験の全てが言い尽くされていると思ってはならないし、
経験と理が離れてあるのなら、その理はウソになる。

言葉で言い難いというのも、
逆に言えば、それを何とか言葉で見極めたいという、僕らの願いの現れであって、
それは経験の自覚化・意識化への渇望に他ならないのだからだと思います。

言霊
それは、けっして識別標として言葉を扱うということではなく、
それぞれの人が、経験する物事に直に触れる不思議さに捕われながらも、
これを何とか見定めようとする、人の表現性のことではないでしょうか。


言霊について少しだけ..._b0197735_2049314.jpg



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by hiro-ito55 | 2013-12-23 20:56 | 日本人 | Comments(0)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります。


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