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結果に拘る前に必要なこと


結果に拘っていきたい』という言葉を、最近はよく耳にします。
多くの場合、その言葉は前向きな良い姿勢として捉えられます。

僕ら医療・介護従事者にとっても、
結果や正しさに拘るのは、もちろん大事なことです。

それに、結果が出るということは、
その方法が正しかったことの証明にもなります。

しかし、
いつの間にかその耳触りの良い言葉だけが、
独り歩きしてはいないだろうか
と、ふと思うこともあります。


結果を待つ姿勢が必要とされる時期や、
思うような結果がなかなか出せない時というのは、
どんな仕事をしていても必ず経験するものであると思うし、

そんなときは、自分が一所懸命であればあるほど、
『こんなに精一杯やっているのに...。』
と、ついつい愚痴を溢してしまいがちです。

一所懸命に取り組んだあとの結果。
そして、それに拘ること。

それは確かに大事なことですが、
仕事をする上では、まず結果に拘る、そういう姿勢を持つことよりも、

自分の出来ることを探し、
その確実性を上げていくための、自分なりのプロセスを作り上げること、
そういう姿勢を持つことの方が、先である
と思うのです。


当たり前のことですが、
自分のできないことをいくら考えても、結果には繋がっていきません。

結果というのは、
いつでも、自分のできることを積み重ねた先にしかない
のです。

だから、
今、目の前の自分ができ得る精一杯のことを探そう、
そういう姿勢を、まずは持たなければいけないし、

結果について言えば、根拠や論拠に従って、
ある程度今後のことに予測を立てることはできますが、
そもそも未来のことなんて、確実には誰にも分からないものです。

僕の経験でいうと、
訪問リハの世界ではそもそも、
事前に準備できていないことは、実際のリハの現場でもできないし、

たとえ事前にあれこれ準備していたとしても、
そのうちの2~3割ぐらいしかできない、ということがよくあります。

準備していないことはできないし、
自分の準備したことが結果に繋がる保証さえ、どこにもないのです。

けれど、どんな人でも、
今、自分にできることというものは、確かにあります。
自分にできることならば、その責任を引き受けることもできます。

ならば、
『今』に立ち会う僕らがしなければいけないことは、
どんな状況でも『その時』に、
自分にできることを、最大限に発揮できるように準備していくことと、
できることのその確実性を、高めていくための努力をすることである

と言えるのではないでしょうか。

そして、
準備と実践を反復していく、そういう姿勢の中からでしか、
自分のできることの確実性は、けっして育ってはいかない。

自己満足に浸るでも、闇雲に突っ走るでもなく、
それが、全力を尽くすということだと思います。

結果や正しさは、それを積み重ねた先にしかありません。

だから、
結果として良い医療やケアをしたければ、
各々が各々のやり方で、真摯に粘り強く、
それらと向き合い続けていけばよいのだろうと思います。

そして大事なのは、それが、
僕らが利用者の前に立ったとき、
自分のすることを、正しいとか正しくないとか、
そういう基準と照らし合わせてみる前に、
まずは必要とされる姿勢でもあるということで、

そしてそういう姿勢がなければ、後々それが良い結果を齎したとしても、
自分のしたことが正しかったのか、間違っていたのか、
自分でそれを判断する資格すらなくなってしまう

つまり、
結果に拘る資格さえ、なくなってしまうように思うのです。


どんな仕事でも、
結果に拘る姿勢を持つというのは、もちろん大事なことです。

けれど僕らが、結果という未来に拘るあまり、
今、自分自身にできることを選択する努力を怠っていれば、

利用者が本当に必要とするような医療やケアなど、
初めから提供できないだろう
と思います。


明日も訪問6件。
僕もまだまだ、準備と実践を反復していく道の、その途上にいます。

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by hiro-ito55 | 2013-05-22 00:20 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(0)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります。


by いとちゅー