月光 Castle・imitation
2013年 02月 02日
最近、言動が不安定な鬼束ちひろですが、
この歌を最初に聴いたときの衝撃は、忘れない。
一瞬で消えてしまう不安定な『何か』を、
永遠の何かに置き換えようとすることに、
アーティストの全てがあると、僕は思う。
不安定なものを安定させることができるのは、
本当に限られた人だけ。
その不安定なものを前にして、
自分のノイローゼを表現することは、
自分を主張することで、物を表現することとは違う。
物を表現せずに、自分の考えや勝手な夢を思い描こうとすると、
神経の苛立ちが、自ずと出てしまうけれど、
自我が強くなければ、良い作品は創れないもので、
それが出るほど、個性的だと言われてしまう。
本当は、表現したい対象は敵ではなく、
心の欲しいままを取り去って、これと向き合うこと、
それによって表現されたものが、どんなに悲しいものであったとしても、
そのアーティストの全的な活動のうちに、感動はあるのだと僕は思うし、
優秀なアーティストほど、
人を安らかな、安定した気持ちにさせてくれるものだと思う。
良い作品は、
人をくたびれさせる筈がない。
彼女の歌を最初に聴いたときの感想は、
そんな、音楽の持つ謙虚さや素晴らしさと、
向き合える時間を持てたことでした。
by hiro-ito55
| 2013-02-02 20:28
| 音楽
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