量より質を求めて二極化
2012年 09月 28日
九月五日に厚生労働省から、
認知症に対する五か年計画、通称『オレンジプラン』が発表されました。
(オレンジプランといっても、
アメリカ合衆国の国防計画のことではありません。)
↓↓
オレンジプラン
オレンジプランは、
介護保険事業下において、
認知症の状態に応じた、より適切なサービス提供体系を推進するため、
厚生労働省が描いた青写真。
認知症には、
早期発見、早期治療、周囲の理解と見守り、
が必要であるという観点から、
大きく分けて、
医師やコメディカルなど、医療専門職への教育と専門的医療機関の育成、
認知症サポーターや、認知症地域支援推進員などの地域社会資源の活用、
認知症高齢者を支える家族への支援
の三つを主な柱とし、
認知症対応への基盤整備を、総合的に推し進めていこうとしています。
これを見ると、
認知症に対する医療・介護サービスを担う人材の育成は、
まだまだ実験段階にあるものの、
退院支援・地域連携クリティカルパスの作成に関しては、
医療機関からの退院見込者に必要となる介護サービスの整備を、
介護保険事業計画に反映する方法を、今後二年以内に検討し、
平成二十七年度以降には、
それを介護保険事業計画に反映させていく方針であることから、
認知症利用者に対応できる体制が整っているかどうか、
を根拠にして事業所ごとに差別化を図るなど、
次回、或いは次々回の介護報酬改定に、影響を与えるかもしれません。
例えば、
退院後にクリティカルパスに基づいたサービスを選択した場合、
その受け皿となる事業所が、認知症利用者に対応できる事業所であれば
(医療専門職を配置しているか、
指定した研修を修了した者がいるかどうか など)、
そのためのハードルを設置し、加算を手厚くすることも考えられます。
恐らくこれからのキーワードは、
『事業所の差別化』と『サービスの組み合わせ』になると思います。
例えば、
認知症対応への取り組みを基準にして長期的な流れを見ると、
将来的に、
利用者をただ預かるだけの事業所との差別化を図っていくのではないか、
と予想しています。
介護保険が施行されてから十二年。
厚労省の求めるものが、
『事業所の数』ではなく、『事業所の機能』となる時代に入ってきています。
身体的リハビリ特化型、認知症対応特化型、夜間対応特化型など、
何かの機能に特化した事業所を加算の面で優遇する、
つまり、
量ではなく質を求める流れは、これからきっと加速する。
そして
小規模の事業所は、何か一つの機能をウリにして細々と、
大規模の事業所は、特化複合型を求めて新しく事業所を展開したり、
中・小規模の事業所を自社に取り込んだりする、
介護保険サービスを提供する事業所が乱立している今、
これからは、そういう二極化が恐らく進んでいく。
それが良いことなのか悪いことなのか、それを判断する前に、
各事業所が、そういう流れの中に投げ出される可能性は、
否定できないのではないかと思っています。
by hiro-ito55
| 2012-09-28 19:42
| 医療・福祉・対人支援
|
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