考える生き方のヒント       ~今、伝えたいこと~

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サービス検証の視点


対人支援という視点でずっと仕事をしていて、最近思うのは、
こちらから、させていただく』 という姿勢は
僕らにとっての当たり前であるうちはいいけど、
それが相手にとっての当たり前となると怖いな、ということ。

例えば、
施設で提供される食事は、おいしくて当たり前
リハビリは、こちらの要望に応えて丁寧にやってくれるのが当たり前
少しでも不便と感じる動作は、介助してくれて当たり前

それはお店に行って、
自分がお客様扱いされるということと、
どこか似ているような気がする。

現場で対人支援をしていて、
もし、そういうふうに考える人が増えてくれば、
少し心配になってきます。

これからそういう価値観を持つ人たちが増えた場合、
現場ではどう対処していくのだろうか。


僕らの仕事は、ホテル飲食店サービス業のように、
相手の要望に沿ったものを丁寧に提供するだけでは、
事は済みません。

目的は、客の財布の紐を緩めることではないのですから、
当然、提供されるサービスの質は、それらとは異なってきます

僕らのサービス、つまり対人支援では、
確かに相手の満足感を引き出すことも重要ですが、

それよりも、
僕らが提供したことが、相手にとって本当によいことなのかどうか

そういう検証の視点を常に持つことの方が、もっと大事だと思う。

相手してほしいと思うから、
或いは、相手困っているから介助をして、

それを積み重ねた結果、
相手の潜在能力引き出す機会を奪ってしまい、
介助依存度を高めてしまったとしたら、
結果としてその支援は失敗です。

相手望むから、或いは困っているから介助しました、だけでは、
それは対人支援とは言えない

相手の要求を受け入れて満足させることだけが、
僕らのサービスではないということ。
僕らのサービスというのは、そういったサービスであって、

ここのところをしっかりと認識しておかないと、
それが相手にとって本当によいことなのかどうか、
いざというときに、適切な判断に基づく対処ができない、
なんてことにも成りかねない。

だから、
楽しく盛り上げながらレクやリハを行ない、
あの手この手を使って、相手を気分良くさせて満足させることを、
リハや介護の基本姿勢だと勘違いしていると、
将来、とんでもないしっぺ返しを食らうような気がする。


今、介護保険を利用してサービスを受けている方々の多くは、
戦前に育った人たちですが、
これからは、施設利用者も戦後に育った人が増えてきます。

今の80歳代以上の方と、60歳代の方では
利用者の持つ価値観がずいぶんと違うように思えるし、
50歳代や40歳代になると、もっと違ってくる

それに伴って、今後は利用者像も、
今とは随分と違った形になっていくはずです。

確実に言えるのは、
個性が社会規範よりも優先されるという自我的な個人主義が、
今よりももっと、介護や医療の現場に持ち込まれるということです。

モンスターペアレント
モンスターペイシャントという言葉が流行って久しいですが、

5年後、或いは10年後には、
ひょっとしたら、
自分をお客様扱いしてくれることを当然だと思う人
激増しているかもしれない。

現場で仕事をしていると、
そういったことにも
準備しておかなければいけない時代にきているのかな、
と個人的には思うし、

対人支援をする側としては、
これから、例えば重度の要介護者が増えていくことよりも、
将来的には、こちらの方が切実な問題になるかもしれない
と思ったりします。

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Commented by でんでん at 2012-05-23 16:12 x
はじめまして。とても共感のできる、また私にとってもリアルタイムな話題で興味深く読ませていただきました。うちの上司も患者様・利用者様の満足のみを優先し、「とても気持ち良かったです。」の言葉に喜びを感じているようです。そうじゃなくて、「リハビリのおかげで外に散歩に行けるようになりました。とか一人でお風呂に入れるようになりました。」のほうがどれだけ意味のあることかと思うのですが、そのようなアプローチは全くありません。何度指摘しても自分の方法が一番だと思っているようで、5年になりますが変わる気配がありません。もうどうしたものやら... 患者様・利用者様も気持ち良いほうが良いので、してもらうリハビリを求めてしまいます。それこそいとちゅーさんの言われるようにいつかしっぺ返しが来るようで心配です。
Commented by hiro-ito55 at 2012-05-23 18:55
でんでん様、はじめまして。
丁寧なコメントをありがとうございます。

こちらこそ、読みづらい文章で申し訳ないですが、
共感していただいて感謝です(^.^)。

対人支援の基本は、利用者の潜在能力を支援することであって、
僕らが利用者の反応に満足するためにあるのではないと思います。

ですから、でんでん様の仰る通り、例え厳しいことでも、憎まれ役になっても、
利用者にとって良いと思えるものを支援していくことが大事だと、
常々思っています。

そして、僕らの押し付けでない、その「良いもの」を見極めることが、
僕らに求められている資質だと思うのです。

しかし、これが、一番分かりあえる筈の同業者に
実は、なかなか伝わりにくいのが現実です。

ですから、
僕と同じような疑問を抱いているでんでん様に、
こちらこそ感謝です。

また、気軽に立ち寄って下さい。
お待ちしています。(^o^)/
by hiro-ito55 | 2012-05-17 19:02 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(2)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー