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人生最期を感謝の気持ちで迎えようとするおばあちゃん


先日、病院から再入所された
佐賀県出身おばあちゃん(90歳代)。

前回退所されたときは、本人の強い希望もあり、
ケアマネさんが家族の方と粘り強く話し合って調整をして、
なんとか自宅退所にこぎつけたのですが、

その後、
自宅のトイレで転んで右足の骨を折り
病院入院・加療して、
状態が良くなったところで、施設に再入所されました。

けれど、このおばあちゃん、
退院するときには、娘さんから 『自宅に帰る』 と言われて
施設に連れてこられたようです。

娘さんの話では、
夜、トイレに一人で行かれては、また転ぶかもしれないので、
本人が夜間のオムツに慣れてくれれば、在宅に引き取りたい
。』
とのことですが、

本人の年齢と、複数の老健に申し込みをしている現状を見れば、
恐らく、在宅に引き取るつもりはないような気がします。


おばあちゃんは、
そんな娘さんの対応に、怒りを感じています。

夜、オムツにされることや、
自宅に帰れないことに対する怒りではなく、
そうやって、親を騙すようなことをしたことに対してです。


リハ休憩中に、本人に自宅の話をすると、
もう、それはよか。よかばってん。』
と、一喝されてしまいました。

そして、
兄弟姉妹や友人も、
自分の知っている人は、みんな死んでしまったことで、
もういつ死んでもよかよ。覚悟はできとるばってん。』
と、話し始めました。

そして、
娘さんに対しては、恨む気持ち不満などは全然なく
ただ 『今までありがとう。』 と、
感謝の気持ちだけであることを、話してくれました。

僕が、『立派だな。』 と思って、
その気持ちを伝えると、
あんた、いい男ね。よかよ。』
と、ニコッとして、満面の笑みを返してくれる。


この仕事をしていると、
時々、こういう笑顔に出会うことがあります。

このおばあちゃんのように、
覚悟を決めた人のというのは、なんて美しいんだろう
と、その姿に惹きつけられてしまう瞬間がある。

自分の覚悟を決めた人の笑顔には、
何とも言えない魅力があると、いつも感じてしまう。

おやつの時間には、
差し出されたお饅頭に向かって両手を合わせ、
いつも 『ありがとう』 と感謝してから頂く、

その姿にも、言葉だけではない魅力があります。


今後、在宅生活復帰へ向けた話も
ケアマネさんを中心に、進めていくかもしれませんが、

そうやって、また、
家族周りの人悩んだり揉めたりする方が、
このおばあちゃんにとっては、
恐らくつらい事のような気がします。

そんな家族の姿を見たら、
きっと、このおばあちゃんなら、
もう、よか。あんたら、もうよかよ!
と、一喝する。


以前、
ある介護職員が酔っぱらって
老健は、介護もリハも全ての利用者に
在宅復帰を目標としたものを実施しなければいけないんです
。』
と、職場の飲み会で、僕に絡んできたことがあったが、

この仕事は、
そんな理屈だけが通るような、単純なものではない。

人生の引き際を、どのような形で迎えるかは、人それぞれ

このおばあちゃんのように、
自分が離れた場所に身を退いて
遠くから見守ることで、家族に迷惑をかけずに、
みんなが穏やかに生活していってほしいと願う、

そういう人生最期の迎え方も、あると思う

そういう人に出会ったとき、
僕にはいつも言葉がない

その人の身になってみれば、
いつでも、言葉はないのです。

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Commented by しゃおらん at 2012-02-13 15:01 x
いとちゅー様、はじめまして。
私は、老人保健施設で介護支援専門員をしています。

対人支援って、奥が深いですね。

でも、奥が深いからこそ、
こういう深さを共に感じながら、私たち専門職が一緒になって、
より良い支援に結びつけていこうとしなければ
いけないのだと思います。

私も仕事柄、OTさんたちと話をする機会がありますが、
残念ながら、いとちゅーさんのようなOTさんには
まだ出会ったことがありません。
(専門的な言葉や精神分析?みたいなものは、彼らからよく耳にしますが..)

「その人の身になってみれば、いつでも、言葉はないのです。」
確かにその通りですよね。

でも、言葉にできないからこそ、
そこから一緒になって考えていけるんだと思う。

たぶん、介護支援専門員の多くは、
そういうOTさんやPTさんと、
一緒に仕事をしたいと考えていると思います。
(すみません。最後、何か愚痴っぽくなってしまって..)
Commented by hiro-ito55 at 2012-02-13 19:07
しゃおらんさん、初めまして。
貴重なコメントを、ありがとうございます。

そうですね。
僕個人としては、自分の考え方や経験の仕方を、
他人に押し付けるつもりはありませんし、

対人支援について言えば、
それぞれの立場から、それぞれのスタイルがあって
当然だと思っています。

そういうものは尊重したいし、、
対人支援について、もっと言えば人と人が接するということについて、
深い洞察を持っていらっしゃるOTの方々も、
きっといらっしゃると思います。

ただ、僕も10年近くOTをやっておりますが、
未だにそういう方に、現実の世界では出会えない
というだけのことだと思います。

お互い、話をしながら思考がどんどん活性化されていくような、
そんなわくわくするような、専門職の方々と出会えるよう、
自分の経験を大事にしていきましょう。
by hiro-ito55 | 2012-02-05 17:48 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(2)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー