マズローの理論を使ってみよう! (後)
2011年 10月 10日
施設で行なう介護・医療サービスのうち、
しっかりとした生活介助と支援を受けていれば、
最低でもレベル②の欲求まで
(つまり、生物体としての基本的な欲求まで)
は、満たすことができます。
しかし、これは 『生物としての最低限の欲求』 ですので、
介護・医療のサービスの主目標が、
これを満たすだけのものであっては、
けして充分なサービスとは、いえないでしょう。
何故なら、人間は更に上の欲求、つまり、
親和や自我や自己実現の欲求の充足を目指す
『社会的生物』 でもあるからです。
例えば、衣・食・住は満たされてはいるけれど、
それを毎日、ひとりぼっちで繰り返している生活
というものを、想像してみて下さい。
誰かと何かを分かち合うことが出来ず、(親和の欲求⇒×)
好きなことに打ち込むことが出来ず、(自我の欲求⇒×)
他の人から、けして認められることがない毎日。(自己実現の欲求⇒×)
そのような生活は、
人間らしく生きているとは
けして言い難いものがあります。
ですから、
僕らの提供する介護・医療のサービスというものは、
レベル③~⑤の 『社会的生物としての欲求』 も、
同時に満たすものでなくてはならず、
それができなければ、
けして充分なサービスだとは言えないのです。
『何のためにレクリエーションをやるのか。
何のために施設行事に参加していただくのか。』
もし、それが分からずに迷ってしまったら、
利用者さんの、
親和や自我や自己実現の欲求 (つまり社会的生物の欲求)
を充足させることを、考えてみては如何でしょうか。
そのためのレクリエーションであり、
作業活動であり、施設行事であり、
生活リハビリである
と、考えることができれば、
一応は理論的な裏づけをもって、
なんとなく行なっている日々の業務の
見直しを行なうこともできます。
マズローの理論は、
介護職の方も、介護福祉士の資格を取るために勉強するらしく、
彼らにとっても、お馴染みの理論のようですが、
この理論を自分たちの仕事に照らし合わせ、
それと結びつけて考えることが
なかなかできない方も多いようです。
『マズローの欲求五段階といわれても、ピンとこない。』
というのが、正直な感想かもしれませが、
こうやって考えれば、
マズローの理論も、けっこう現場で使えるものかもしれません。
by hiro-ito55
| 2011-10-10 16:20
| 医療・福祉・対人支援
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