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退所後、在宅復帰できるのは...

前に、 
『高齢者在宅生活の方向性』 (2011年8月17日) と
『在宅復帰支援 < 家族のレスパイト』 (2011年9月5日)
の記事の中で、
老健の在宅復帰率が低いということを、チョロッと書きました。

実際には、どのくらいの在宅復帰率であるのか、
今回はそのデータ的な部分です。

少し古いですが、厚生労働省の 
平成19年 介護サービス施設・事業所調査結果の概況
という報告書に、
そのデータが記載されています。

ここでは、
老健に入所する前の場所も、併せて記載されています。


それによると、
             母数:16,358人
(入所前の場所)  ⇒   (入所) ⇒  (退所後の場所)
家庭:34.0%
                 家庭:31.0%  
介護老人福祉施設:1.1%         介護老人福祉施設:8.5%  
介護老人保健施設:6.3%         介護老人保健施設:7.0%
その他の社会福祉施設:0.3%      その他の社会福祉施設:1.9%  
医療機関:53.5%              医療機関:45.3%  
その他:4.8%                死亡:3.8%  
                         その他:2.4%

  ・医療機関 ⇒ 医療機関 :32.3%
  ・家庭   ⇒ 家庭   :21.2%
  ・家庭   ⇒ 医療機関 :8.0%


となっています。


家庭からの入所者が全体の34.0%で、
家庭から入所して、家庭に戻ったのが21.2%です。

つまり、家庭から入所した者のうち、
再び家庭に戻れた者が、21.2/34.0で、約60%となります。
残りの40%は、家庭以外の場所への退所となっています。

また、家庭に退所した者が、全体の31.0%ですので、
家庭⇒家庭 経由の21.2%を除すれば、
家庭以外からの入所者で、家庭に退所した者9.8%となります。


纏めると、
①家庭から入所した者(全体の34.0%)が、
 再び家庭に戻れるのは、その内の約60%

②家庭以外から入所した(全体の66.0%)者が、
 家庭に戻れるのは、その内の約10%

ということになります。


また、一旦、家庭に戻ったとしても、
その後、施設に再入所し、
施設と在宅の往復利用を繰り返す利用者もいますので、

実際には、
本当の意味での在宅復帰を果たす利用者は、
もっと少なくなります。


こうして見てみると、
老健での在宅復帰率が低いという、
現場の実感を、具体的に裏付けているように思えます。

つまり、
老健における 『支援』 の比重というものは、
利用者の在宅復帰ではなく、

むしろ、
利用者の家族を対象にしたものに重きを置かれている

というのが、
僕ら老健で働く者の実感であり、現状であるのです。

老健での入所期間が、
在宅で介護をしている家族を休ませる期間に充てられ、

その期間は、
僕らは、利用者が在宅に帰っても家族が困らないように

できるだけ、
利用者の心身機能を落とさないように支援している
ということです。

これはいわば、
間接的な、在宅介護者のレスパイト支援を行なっている
ということになると思います。


また、退所後に自宅に戻るケースとしては、
先に挙げた
①退所後すぐに在宅復帰する場合(その後の往復利用も含む)

の他に、

②他の施設や医療機関を迂回して在宅に戻る場合
③長いスパンでみれば、再入所と①、②を繰り返し、
 その後は他の施設に移って、そのまま在宅に戻れなくなる場合


も考えられますが、

これらの場合も、
家族のレスパイト支援のための施設が
複数になったり、その期間が延びたりするだけの違いで、

現状、老健が行なっているような支援の性格は、
何れの場合も、同じであるように思われます。

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by hiro-ito55 | 2011-09-11 11:52 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(0)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


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