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在宅復帰支援 < 家族のレスパイト

老健におけるリハビリの実務業務として、
実際のところ、『〇〇クラブ』 や 『レク』 といった
施設生活でのQOLを重視した集団でのリハビリ、

或いは、施設生活での身体機能維持を目的とした
集団での 『体操』 が多いのが現状です。

老健は 『利用者のリハビリのための施設』 で、
その目的とするところは、『利用者の在宅復帰支援』 にあり、

そのための実務として、
僕らPT・OTなどは、
在宅復帰を睨んだ利用者・家族の個別支援を行なう

というのが、老健施設の主旨とするところです。

しかし、そのような現状になっていないのが実際のところです。
(そのデータ的な部分は、次回の記事で示します。)


利用者の平均在所日数の多い施設は、
施設=生活の場 という意味合いが強まるため、
ケアプランも、リハのアセスメントも、
どうしてもそれを重視せざるを得なくなります。

利用者の施設生活という日常を
充実させることに主眼が置かれれば、
冒頭に挙げた実務が増えるのは致し方ないことなのですが、

何故、このようなことになるのか

それは、老健での実際業務が
利用者の在宅復帰支援ではなく、

利用者家族のレスパイト支援
に充てられることが多いからです。


在宅での主介護者が娘や息子の場合、
在宅サービスを利用している時間はよいが、
それ以外の時間での介護上の不安を訴える方や、

主介護者が夫や妻の場合、
そもそも介護すること自体不安を抱えている方などは、

一日中、専門的に見ていただける』 施設への入所を、
介護者のレスパイトとして捉える傾向が強く、

この傾向を弱めるためには、
介護者の抱える不安を払拭する必要があるのですが、

それには、
①施設から在宅への、流れのある支援方法の確立
②受け皿としてのコミュニティーの再生

という難問が残されています。

しかし、それがクリアされていないのが現状です。


例えば、六か月後に在宅復帰を予定していた利用者が、
家族の都合によってその時期が延期されると、

そこで新たなケアプランと、それに基づくリハ計画を
もう一度立て直さなければならなくなります。

それでも在宅復帰の可能性が
具体的に残されている場合はよいですが、

その時点で、家族から
他の老健や特養の申し込みの相談を受けた場合、

その利用者の在宅復帰は、
かなり非現実的な方向に傾いていきます。

そうなると、ケアプランもリハ計画も
それを現実的な内容にするためには、
施設生活重視のものにならざるを得なくなります。

また、一度在宅に復帰しても、数か月後には再び入所され、
以後、在宅と施設との往復利用を繰り返すうちに、
どんどん在宅生活の期間が短くなっていく場合も、
同様です。


老健から在宅に復帰する利用者の割合は、
統計上は31%と出ていますが、

実際には、
この 『往復利用』 も含んだ数字であることを考えれば、

本当の意味での利用者の在宅復帰率は、
もっと低くなります。


ですから、現場で働いていると
いったい、誰のためのリハビリなのか』 
と、その目的を見失いがちになりますが、

リハビリ施設である現時点での老健機能の実際が、
利用者の在宅復帰支援 < 利用者家族のレスパイト支援
であると考えると、
一応の合点がいきます。

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Commented by どりーむ at 2011-09-06 00:27 x
そうですね。
私の地域も、老健そのものが少ないこともあってか、
今まで、老健からの退所支援に関わったことがありません。
老健に入所されている方は、どこにいっちゃうんでしょうね、
と、いつも思っています。

入院や入所され、要介護状態の方が家庭の中にいらっしゃらなくなると、
それなりに、ご家庭の中に、そのペースが生まれてしまうことも、ありますよね。
そして、そのペースが当たり前になってしまうと・・・。

そのあたりの、感情の機微についてを、
リハ職とケアマネや相談員と連携しながら、
フォローしていけるシステムやスキルも、求められていきますね。
Commented by hiro-ito55 at 2011-09-06 20:28
どりーむ様、いつも丁寧なコメントをありがとうございます。

老健の持つ、家族のレスパイト支援の機能自体を否定するつもりはありません。
しかし、「家族に迷惑がかかるから。」と仰る利用者さんも、本音は「家に帰りたい。」という方がほとんどです。
ならば、受け皿自体の支援と、そこに至るまでのしっかりとした流れをシステムとして構築し、そこに僕らのような人間が携わっていかなければならないのではないでしょうか。
最期まで家族と一緒にいられる環境を提供できることで、僕らの仕事は報われる。
そんな気がしませんか。
by hiro-ito55 | 2011-09-05 15:58 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(2)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー