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高齢者在宅生活の方向性

八月十日付の
社会保障審議会の第78回介護給付費分科会
主な論点を纏めた資料では、

介護老人保健施設の項目に、

基準・報酬については、
①在宅復帰・在宅療養支援機能を高める方策
②施設における医療提供のあり方

に留意して検討すべきではないか

とあります。

つまり、老健の本来の機能である
利用者の自立を支援し、在宅復帰を促進することを、
今更ながら、改めて強調しているわけですが、

現在まで、利用者の在宅復帰は
思ったように進んでいないのが現状です。


高齢者の在宅ということで考えてみると、

国は、国土交通省・厚生労働省共管制度による
サービス付き高齢者向け住宅』 の本格的な普及に向けて
既に具体的に動き始めています。

今年二月八日には、
国土交通省から
高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律案について
の発表が行われ、

そこで、
これまでの高円賃や高専賃を廃止して、
新たに 『サービス付き高齢者向け住宅』 (有料老人ホームも登録可)
を設置することを閣議決定し、
四月から 『改正高齢者住まい法』 の中でスタートさせています。

しかし、これが老健の在宅復帰の受け皿となるわけではありません。

八月十日の分科会でも、
高齢者の住まいについて、
普及促進を図り施設への入所ではなくサービス付き高齢者向け住宅において入居者が重度化しても安心して暮らすことができるようにするため、
基準・報酬について検討するべきではないか
。』
としています。

あくまで、在宅サービスというカテゴリーで、
安否確認生活相談などの、介護保険以外のサービスを、
そこにどう組み合わせていくか、
というのが主眼で、

そこで 『生活を完結させる』 ための、
これは、 『住宅の話』 なのです。

つまり、
新たに 『サービス付き高齢者向け住宅』 に入居
(在宅扱いならば、 『引っ越し』 でしょうね。) していただき、
そこで様々なサービスを受けながら、

高齢者同士、或い高齢者単身でも、
最期まで安心して生活していくための 
いわば 『ご隠居ハウス』 の普及を推し進める
ということです。

入居する前から、
重度化してもそこで生活を完結させることが目的』 なのですから、
当然のことながら、老健の在宅復帰の受け皿とは、なり得ないのです。
(当たり前ですね...。(;一_一) )


国が、サービス付き高齢者向け住宅を推進するのには理由があり、
2010年から2020年の十年間で
高齢者人口が、2,900万人から3,600万人に、
高齢者単身・夫婦世帯が、1,000万世帯から1,245万世帯に、
それぞれ激増するのに対し、

全高齢者における高齢者住宅等の定員数の割合』 が、
日本では未だ0.9%(2005年)と、
英国やデンマークに比べ (ともに8.0と8.1%) その値が低いからです。
(数字は国土交通省発表のもの)

国は、 『国交省成長戦略』 と銘打って、
2020年までに、この値を3~5%に引き上げること
を目標に掲げています。

今後は、
以前 介護・福祉のビジネス化』 (2011年6月8日の記事)
の中でも少し紹介した介護ロボットや、
住宅会社のビジネスチャンスの場として捉えられ、

そういったサービスも含めて
高齢者向け住宅の普及が展開されていく可能性は、
充分にあると思います。

その場合、
国交省、厚労省、民間企業が積極的に絡む
一大ビジネス産業へと、発展するかもしれません。
(それがよいのか悪いのかは、また別として...。)


いずれにしろ、
高齢者が安定した生活を送ることのできる環境が整い、
それが普及していくのであれば、
たいへん喜ばしいことです。

肝心なのは、このような流れの中、
僕らリハ職が、これにどのように関わっていけるのか、

今後は、
そのための明確なビジョンや、具体的な取り組みが求められていく、
ということです。

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Commented by colnago510 at 2011-08-17 23:28
私が住む界隈でも増えてきています。有料老人ホーム。
最寄りのところに訪看やヘルパー事業所を置いたりしています。
新たな住まいの、生活のカタチなのでしょうね。
こうした生活環境、その傾向の変化をしっかりと掴んでいかねばなりませんね。

ひとりひとり、つまり「個」の生活が保証されるわけなんですが、
僕個人、田舎に生まれ育ってきたこともあり、
先祖が守ってきた家・土地・仏壇、そこに存在するご近所付き合い(コミュニティ)・・・
そういったことがふと頭を掠めるのです。

もちろん、入居者同士やその地域でコミュニティが築けるわけなんですが、
僕の頭を掠めたのは「縦糸」の部分であると思うのです。

「個」にフォーカスしていく一方で
そういったことにも頭の片隅に入れておきたいなぁ、と。

雑多ですみません(笑)
Commented by hiro-ito55 at 2011-08-18 18:04
510様、丁寧なコメントをありがとうございます。

510様が感じる違和感みたいなものは、当然のことだと、僕自身は思います。
年齢的にも、能力的にも同じような人ばかりを集めて、そこに「外部」から、それまで一度も会ったことのない人が、それぞれの「役割」を持って「お手伝い」をしに来る。
欧米では、個の権利を重視する文化的背景もあるため、そういった仮想コミュニティーでも、役割行使と役割授受は、お互いの「当然の権利」である、と受け入れやすいものなのかもしれませんが、「それをそのまま日本にも」というのは、510様の感じる違和感のように、些か短絡的である気がします。
リハビリの、「全人間的復権」という文言に違和感があるように、それは日本型に作り替えていかなければ、持続可能な制度には成りえないでしょうね。

510様の仰る「縦糸」とは、自然も含めた「緩やかな繋がり」のことではないでしょうか。
それは、人の生活、もっといえば文化に根付いたグラデーションを描くような独特の価値観のことだと思いますので、日本のコミュニティーは、この価値観を尊重するような、ある意味自然なものでなくては、なかなか持続しない、と個人的には思います。
by hiro-ito55 | 2011-08-17 23:24 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(2)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


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