考える生き方のヒント       ~今、伝えたいこと~

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退所前の関わり方のもどかしさ(後)

一昨日のつづきです。

図面だけを見てあれこれと言う意見と、
実際に肌で感じてみて述べる意見とでは、
同じ意見でも違います

自宅に訪問できれば、
実際の利用者さんの動きを実地で確かめることができるので、
こちら側もより具体的にアドバイスをすることが可能になります。

それに、図面判断では、
現実とは違う少し理想的な意見 (言葉は悪いですが、ある程度好き勝手なこと) 
を言うこともできますが、

実地での検証では、
自分の考えと、利用者の実際にできる動きや生活との、
具体的な擦り合わせ作業が必要とされます。

つまり、自分の意見に責任を持つことができるのです。

これは、リハビリだけでなく、他の職種にも言えることだと思います。


そして何よりも、もし時間が合い、
家族の方や在宅のケアマネさんからも、自宅で直接お話を伺い、
実地に基づく意見交換をすることができれば、

施設から在宅への、より具体的な流れのあるプラン
も立てやすくなるというのが、
各専門職と利用者双方の間における、収穫でもあるのではないでしょうか。


以前、 
『利用者さんから学ぶ思考 その1~4』 (2011年5月20日~31日の記事) 
という記事を書きましたが、

Fさんの場合も、
自宅退所前にケアマネと本人の間でぎくしゃくした苦い経験があります。

Fさんは、自宅の様子をリハビリもケアマネも見に来ることさえしないのに、
あれこれと好き勝手なことを言われるのが、癪に障ってしまったのです。

それを、何かの折に施設ケアマネさんに話したことがあります。

彼女は、大変興味深く僕の話を聞いて下さったどころか、
彼女自身も以前から、退所前の利用者宅への訪問の必要性は、認めていたようです。


しかし、事務所側と僕の上司は、 
費用対効果が上がらない』 『今の方法で充分である』 との理由で、
居宅訪問の必要性はないと判断しています。

費用対効果が上がらない』 とは、
業務時間中にケアマネとリハビリ職員がそれぞれ抜けることは、
その時間に業務の空きができることを意味し、
他の職員に業務のシワ寄せがいく可能性が高く、

また、例え退所前後訪問指導加算を算定できたとしても、
人件費等の必要経費を割り引けば、
収支の上でも割に合わなくなるということです。

実際、周辺の老健でも、
よほど母体経営がしっかりとしているところしか、
退所前後訪問指導加算算定していません。

ですので、退所前の利用者宅訪問の話は、事実上、棚上げ状態です。


しかし、一専門職の立場で言わせていただけば、
老健の趣旨利用者の在宅復帰支援である以上、

各専門職が居宅を訪問し、
 実際場面をその目で確認しながら、そこで意見交換をすることは、
 お互いのスキルアップの最も近道


であるし、

そこで出された提案が、
 利用者と家族の生活を支える、最も具体的なヒントと成り得る


ならば、

それは彼らに安心と自信を与え、
 結果として、利用者の在宅復帰を促進する


と、僕は考えています。


また、僕自身は、仕事の時間は自分で作るものだと思っていますし、

例えそれが短期的に見て
収支に釣り合うだけの労働ではないにしても、

その目先のコストを、
未来への投資へと変換していけるよい方法はないものか、

というのが僕の本音なのですが、

しかしこれは、 『あまりにもきれい事』 であるのかもしれません。


こんなきれい事が空しく感じるとき、少しだけこの仕事を辞めたくなります。


ま、そんなことを言っても何も始まりませんね。

せめて今できる仕事を、
一所懸命やっていくことだけは、怠らないようにしたいものです。

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Commented by どりーむ at 2011-07-30 19:48 x
おっしゃられているとおり、
見ると聞くとでは、違いますよね。
退院・退所ケースで、
病院・施設のリハ職さん達が一緒に訪問してくださることで、
どれだけ、入院・入所中のリハが、
より生活に近いものに変化するか。
そして、そのことにより、どれだけ、退院・退所後の生活が安心して送られるか。
そうなることで、実は次の依頼につながり、
そして、事業所の質や評判を上げることになる。

風が吹けば、桶屋がもうかる。
そういう世界なんですけどね。
Commented by hiro-ito55 at 2011-07-31 12:30
どりーむ様、いつもコメントありがとうございます。

そうなんですよね。
各専門職と本人、家族を含めた実地に基づく検証が、
どれだけお互いのためになるのか。

それは、初めから「効果」だけを求める方法論では、
到達できない、貴重な結果なのです。

しかし残念ながら、今の介護保険制度では、
それをバックアップするだけの体制が整っている
とは言い難いところがあります。

僕らの対象が、利用者の機能訓練から利用者の生活に脱したときき、
利用できる制度も、それに合わせて変化しなければ、

或いは介護保険とは違う制度も利用できるよう、制度として体制を整えなければ、
立ち行かなくなるのではないでしょうか。

2011年5月22日の記事にも書きましたが、「兵站」を軽視すれば、
現場が混乱するのです。

それは、僕らの世界でも、同じことが言えると思うのですが...。
by hiro-ito55 | 2011-07-30 00:08 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(2)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー