考える生き方のヒント       ~今、伝えたいこと~

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 消去法による目標設定 ~その1~

今、地域と共同体のことについて、
僕なりに文章を纏める作業をしていますが、 
在宅や地域に 『共生機能集団』 としての 
『受け皿』 の機能が不足している現実を、
どう補っていくのかというのが、その最大のテーマになりつつあります。


しかし、僕が働く老健という職場のスタッフにも、
意外と 『利用者の自宅復帰』 に固執する人が多いのには、
正直驚かされます。

それが多角的にみた結果であればよいのですが、
中には 『利用者の特養待機はあり得ない』 
とまで言い切るスタッフもいますし、

そのような 『一元論』 もどうなんでしょうね、
と思うことがります。

ひとつ言えることは、 
一元論的に絞った目標というものは、
意外と汎用性がないものであるという事実を、
自覚することではないでしょうか。

先の記事でも触れましたが、利用者が自宅に復帰しても、
そこが新たな孤独や閉塞感が生成する場であっては、
せっかくの自宅復帰も意味を成しません。

そのような場合、 『特養待機』 も
選択肢としては 『あり』 かもしれないのです。



現場で働いていると、目標というものは案外、
消去法によって得られることが多い気がしたりします。

そうではなくて、数ある選択肢の中から、
最初に自宅復帰という大きな目標を選択して、
その目標に突き進んでいくのも、もちろん 『あり』 です。

しかし現実には、
利用者の心身状況というものは入所期間中も変化していきますし、

家族の健康状態や、
経済的事情などの環境、
思惑なども、変化していくものです。

そのために三か月に一回のケアプランの見直しがあるのですが、
現場のスタッフに 『なにがなんでも自宅復帰』 
という共通意識が根強くあると、
目標の軌道修正というものは、なかなか容易ではありません。

施設のケアマネさんも、その点で苦労している方もいらっしゃいます。


ですから、現場のスタッフは、
状況というものは常に変化していくものであることを、 
(当たり前のことですが)
最初に頭の片隅にでも置いておく必要があります。

そして、
その変化になるべく対応できるようにするためには、
最初から一元論的に思考することが、
以後のスタッフ間の合意形成の妨げになることを、
自覚しておかなければなりません。

それに、利用者が入所する前から、その施設のスタッフに 
『こうでなければならない』 
という強力な目標設定が既に存在すると、 

『その設定に合わない』 利用者が入所した場合、
入所したこと自体が不幸になってしまうことすらあるのです。


ですから、利用者が入所生活を送る中で、
『老健』 『自宅』 『特養』 『グループホーム』 
などといった選択肢の中から、 
『これはないな』 と思えるものを、

本人の希望や心身情況、家族状況の変化などから多角的に検討して、
ひとつずつ 『消去』 していくという、
やや 『後ろ向きな目標設定』 もひとつの手なのです。

そして、目標をより 『現実的な話』 にする場合は、
このような消去法が有効です。


高い目標設定は、 『こうでなければならない』 という 
『希望』 や 『幻想』 を多く含んでいますので、
いつまでもそれを修正できないような 『土壌』 を、
僕ら現場のスタッフが作り出していてはいけません。

高い目標設定というものは、あっても全く構いませんが、
それはいつでも 『現実的な話』 に修正可能なものであるべきなのです。

何故なら、そのような汎用性がなければ、
それはスタッフからの 
『理想の押しつけ』 にすぎないものに変化してしまうからです。

スタッフの考える 『私的な理想像』 を、
あたかも 『あなたのあるべき当然の姿』 として押し付けられては、
たまったものではありません。

そしてそこには、 『私的な考え』 を、
みんなが当然と思う 『公的な考え』 にすり替える
ロジックの飛躍が働いていることも、往々にしてあるのです。

このような 『すり替え』 をされると、
利用者や家族は、なかなかそれに 『NO』 と言えるだけの
根拠を示すのが難しくなります。

そして最悪なのは、この間に 
『現実的な目標』 を考える機会が失われてしまうことです。

そのようなことにならないためにも、
利用者の目標設定には常に慎重でありたいものです。


あと、消去法での目標設定の良いところは、
お互いに 『楽』 であることです。

それは何故かというと、 『無理をしない』 からなのですが、
このつづきは次回ということで....。




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by hiro-ito55 | 2011-01-17 01:09 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(0)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー