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 共生機能集団の補完

先日、 『ロジックの飛躍と適正化』 というタイトルで記事を書きましたが、
酒井穣さんのブログ 『NED-WLT』 でも、
コミュニティーについての大変興味深い記事を書いておられるので、
興味のある方は一度覗いてみてることをお勧めします。

データ的な裏付けがきちっとなされているので、説得力があります。

タイトルは 『コミュニティーが見直されつつある背景』 です
(僕の記事の右下の 『エキサイトブログ』 のところにもリンクを張ってあるので、
そこからジャンプできます。)。



その記事から、一部抜粋させていただきます。

日本では、少子高齢化によって地域コミュニティーの重要性が高まっているにも関わらず、そもそも日本人は他人と付き合いたがらない傾向があるとすれば、「なんらかのルールを自発的に共有しようとする人々の集まり」である地域コミュニティーを活性化していくのは相当難しいチャレンジと言えそうです。
コミュニティーが持っている「助け合いの精神(互酬性)」は利用したいものの、コミュニティーへの参加自体に気が乗らないという状態なのです。このギャップ(問題)を埋めようとしているのが、どうやら各種のNPO(非営利団体)のようです。 


(中略)

NPO法人も立派なコミュニティーの一種なので「ひたすら、サービスを行うコミュニティー」と「ひたすら、サービスを受ける孤立した個人」に分断されているという部分は、相当気になります



僕も現在、
地域や共同体についての考察を纏めている最中ですが、
下線部分の酒井氏の 『役割の分断』 に対する違和感は、
僕も全くの同感です。

介護保険制度を利用した各種在宅サービスも、
実はこれと同じで、 
『サービス提供者』 と 『サービス利用者』 という、 
『役割を固定化されたもの』 であると思うからです。

これについて、まだ書きかけの文章ですが、僕の考察を載せておきます。



現在、老健の抱えている大きな問題のひとつに、 
『入所している期間の長い利用者が少なからずいる』 
という問題があります。

ご存知の通り、老健の役割は 『利用者の在宅復帰の支援』 にあり、
そのために介護や医療などの様々なサービスを提供するもので、

利用者の早期の在宅復帰を実現することが望ましいとされています。

しかし、現実には、
家族が利用者を自宅に引き取ることを渋っていたり、
利用者が自宅に帰っても、妻(夫)も要介護者となって
他施設に入所中であるため、
一人暮らしをせざるを得なかったりするケースも存在します。

つまり、入所者の在宅復帰を目指すはいいが、
その 『受け皿』 がしっかりと機能しえないケースが、
少なからずあるということです。

これは、共同体や家族が、 
『共生機能集団』 としてはもはや機能していない、

もしくは機能するには能力的に不足し、
受け皿としては大きな負担となっているという事実を、
少なからず示しているのではないでしょうか。

そして、
このような 『長期入所』 の可能性を持った 『予備軍』 が、
現在の長期入所者よりも遥かに多いであろうことは、
老健に 『入所待ち』 をする人が全国に相当数いる現状を見ても、
容易に推測できます。


この問題に対して国は、
施設利用者の在宅復帰の推進を、更に推し進めていく方針で、

そのために介護保険下での在宅サービスの充実が、
急務であるとしています。

つまり、
共生機能集団である共同体や家族の能力的な不足を、
介護保険サービスで補おうという方針であるのですが、

現状はそれほど効果は上がっていないと言えるでしょう。 

そうでなければ、
老人の 『孤独死』 ということが、
昨今これほど多く話題に上ることもない筈です。


その効果が上がらない原因のひとつに、
『介護保険サービスを提供する者は、
介護保険サービス以外のサービスを提供してはならない』
というルールの存在があります。

これは、
『定められた時間通りにきっちり自分のサービスのみを提供する』 
ことを、厳密に規定することであり、

本来、人情的に 『してあげたいこと』 も 『認めてあげたいこと』 も、
提供したりされたりすることができないことを意味します。

もし、うっかりしてしまえば
それは 『法律違反』 となり、厳罰に処せられます。

これは、 『役割の固定』 のためのルールなのです。

このルールに則る限り、
サービス提供者は、あくまで提供者としての役割を、
利用者は、あくまでサービスを提供される者としての役割を、
それぞれ外れることはできません。

介護保険が
『利用者とサービス提供者』 との 『契約』 に基づくものである以上、
これはいたしかたのないことなのかもしれませんが、 

『贈与の往還』 という共同体の基本コンセプトを考えたとき、
現在の介護保険下での在宅サービスでは、
質的に、共同体を補完するための機能を十分に発揮することは、
今後もできないでしょう。


もはや、介護保険サービスの枠内で
地域を考える段階ではなくなっているということは、
介護・医療関係者の間では気付かれつつありますが、

介護保険も
共同体や家族の共生機能集団の不足を補う方法のひとつにすぎない
と捉え直した上で、

それと他の 『贈与』  をいかに組み合わせていけるか、
という 『もう一段大きな枠組み』 で
考えていく必要があるのではないでしょうか。

そうでなければ、
介護保険サービスのみに頼らなくてはならない高齢者の 『孤独』 は、
ますます深まっていくように思われるのです。




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by hiro-ito55 | 2011-01-11 20:39 | 医療・福祉・対人支援 | Comments(0)

作業療法士です。日頃考えていることを綴ります


by いとちゅー